栗林公園の概要
栗林公園は、高松市にある讃岐藩の大名庭園で、国の特別名勝に指定されている。
16世紀後半に豪族佐藤氏によって、佐藤家の別邸のあった小普陀付近に築庭されたのに始まるとされている。1625年頃に、讃岐国領主の生駒高俊公によって南湖一帯が造園され、現在の公園の原型が形作られる。松平時代になり、5代松平頼恭公の時代に園内六十景命名をもって完成し、以降明治維新に至るまでの228年間、松平家11代の下屋敷として使用された。
園内は北庭と南庭に分かれ、6つの池と13の丘があり、紫雲山を借景にした大変美しい庭園となっている。
住所 | 香川県高松市栗林町1-20-16 |
TEL | 087-833-7411 |
休業日 | 年中無休 |
営業時間 | ほぼ日の出から日没まで(月によって異なる) |
料金 | 大人410円・小中学生170円 |
アクセス | JR栗林公園北口駅より徒歩3分、ことでん栗林公園駅より徒歩10分 |
駐車場 | 25分100円 |
ホームページ | http://ritsuringarden.jp/ |
※データは取材時のものです。実際とは異なる可能性がございます。
見所と詳細情報
東門
栗林公園には、切手御門とも呼ばれる東門と、北門がある。チケット売り場は両門にあり、どちらからでも入園できる。
お手植松
園内中央にある5本の松は、秩父宮殿下、高松宮殿下、エドワード・アルバート王太子殿下、良子女王殿下、北白川大妃殿下が来園なさった際に記念にお手植えされたもの。
鶴亀松
別名、百石松とも呼ばれ、110個の石を組み合わせ亀を形どった石組みの背中に、鶴が舞う姿をした黒松を配したもの。園内で最も美しい姿の松ともいわれている。
根上り樫
明治の時代この場所に幹が二股に分かれていた老松があったという。樫がこの股の部分に生えていたが、成長とともに空洞化した松の幹の中を通り根を下ろし、老松が枯れたため現在の樫の木が出来上がったという。県の天然記念物に指定されている。
箱松と屏風松
左側の背の高い方が屏風松、右側の背の低いほうが箱松と呼ばれる。箱の形を装った松で、樹芸の粋を集めたこの松は、栗林公園ならではの景観を作り出している。
百花園跡
五代藩主の松平頼恭は、江戸城吹上御殿にあった薬園に習い、ここに薬園を営んだ。各地から花木や薬草を集め、栽培管理には平賀源内を起用したという。現在は茶園と梅林になっている。
見返り獅子と牡丹石
北湖の西岸には、牡丹の花と、獅子が振り返った姿に見える2つの天然石が鎮座する。左の石が牡丹石、右が見返り獅子。
日暮亭
江戸時代この場所には日暮亭と呼ばれる茶室があったが、後に撤去される。現在の建物は1898年に石川流の茶室として再建されたもの。
西湖と石壁(赤壁)
庭園の西端には西湖がある。西湖の景を支えている石壁は、中国揚子江左岸の景勝地に因んで、赤壁と名付けられている。自然の岩盤を取り込んだスケールの大きい庭景となっている。
涌樋滝
赤壁を流れ落ちるこの滝は、藩主の観賞用として作られたもの。紫雲山の中腹に置いた桶まで人力で水を汲み上げていたため涌樋滝と呼ばれる。現在は西胡の水をポンプで汲み上げている。
旧日暮亭
二代藩主松平頼常公の時代にあった考槃亭という茶室を、五代藩主松平頼恭公の時代に会倦厳の東方に移したもので、日暮亭と呼ばれていた。後に園外に払い下げられ、1945年にこの地に移築されたが、その際に園内には既に日暮亭が存在したため旧日暮亭と呼ばれる。
戞玉亭跡の降蹲踞
この水流の北側に茶亭の戞玉亭があったが、五代藩主松平頼恭公の頃移築された。この茶亭に使われた降蹲踞が現在も残る。蹲踞の手前にある円筒内の水は、上の池から送水され水が湧き上がるようになっている。
鳳尾塢
この築山には、薩摩藩の藩主の島津氏より寄付された琉球産のソテツが植えられていて、葉が鳳凰の羽に似ていることから鳳尾塢と呼ばれる。樹齢300年以上で県の天然記念物に指定されている。
睡竜潭と慈航嶼
西湖の南端にあたる池泉は睡竜潭といい、中島は慈航嶼と呼ばれる。島には2つの橋がかけられていて、手前の橋が津筏梁、奥の橋が到岸梁と呼ばれる。5月には津筏梁の脇にはカキツバタが見られる。
掬月亭
掬月亭は南庭の要に位置する四方正面の数寄屋造りで、回遊式庭園の中心的な施設となっている。歴代藩主は大茶室と呼び愛用していた。
掬月亭から望む涵翠池
掬月亭の西には涵翠池という池がある。石組みが素晴らしい中島の瑤島の木々や、背景の紫雲山の自然から、翠(みどり)を涵(ひた)すという意味で名付けられた。
根上り五葉松
1833年の参勤交代の折に、9代藩主松平頼恕公が拝領の盆栽を地に下ろしたものが成長したといわれている。
楓岸から望む南湖
南湖の南岸に位置する築山は楓岸と呼ばれ、沢山の楓の木が見られる。四季折々の美しさがあるが、秋の紅葉の時期は特に素晴らしい。
偃月橋
偃月橋は園内の名のある14の橋の中で最も大きな橋となっている。弓張り月が湖面に影を映す姿に似ていることから名付けられた、反りを持った美しい大円橋となっている。現在の橋は平成13年に架け替えられたもの。
偃月橋から望む南湖
偃月橋の上からは南湖に浮かぶ島々、バックの掬月亭や紫雲山など美しい景観を拝むことが出来る。
吹上
石の間から吹き上げるように噴き出る噴泉の吹上は、栗林公園の当南端に位置する水源地で、この場所で曲水の宴が行われていたといわれている。
飛来峰からの眺望
南湖の東岸に位置する築山である飛来峰は、富士山に似せて作ったとされている。紫雲山を借景に、南湖の奥に掬月亭、手前に偃月橋と、圧巻の絶景が広がる。
飛猿厳
荒々しさが特徴の飛猿厳の石組みは、園内で最も大きな石組みとなっている。大きな石を高く積み上げたような組み方は、江戸時代に発達した築城の手法を取り入れたものといわれている。
諸山から望む南湖
南湖の北岸に位置する諸山には美しい松が植えられている。ここからは、南湖、掬月亭、偃月橋など美しい景観が一望できる。
古理兵衛九重塔
初代藩主松平頼重公のお庭焼として、1647年に京都から招いた紀太理兵衛重利が焼いた九重塔。
講武榭
講武榭は藩政時代に武を練った場所で、扇屋原ともいう。もと矢場御殿、馬場御殿などがあり、馬に乗って弓を射たところと伝えられている。
芙蓉峰から望む北湖
北湖の東岸に位置する高台で、対岸から見ると富士山の形をしているので、富士の別名である芙蓉の名がついたとされる。芙蓉峰から望む北湖は、紫雲山を借景として右に前嶼、左に後嶼、中心には紅の梅林橋という美しさ。
鴨引き掘と小覗
江戸時代の北庭は、群鴨池をを中心として、領主が鴨猟をするための鴨場として使われた。1993年には鴨引き堀と、鴨の様子をうかがうための覗き小屋が復元された。
群鴨池
園内最大の池で、江戸時代には鴨猟に用いられていた。明治末期の改修の際、春島、夏島、秋島、冬島が造られ、毘沙門天祠がある多聞島と合わせて5つの島がある。
花しょうぶ園
1970年に作られた花菖蒲園には、6月になると花菖蒲が咲き乱れる。
商工奨励館
1899年に香川県博物館として建てられた建物。1938年に商工奨励館と名を改められ現在に至る。中では讃岐の伝統工芸品などを展示している。
讃岐民芸館
園内にある讃岐民芸館は、古民芸館、家具館、新民芸館、瓦館からなる、讃岐独特の生活雑器や民芸品や家具などを展示したもの。入館は無料。